こころの相談室 HALPRIMURA -春プリムラ- | HALPRIMURA(春プリムラ)は女性の方を応援するこころの相談室です。悩み事などに関するカウンセリング。子供の学校相談。子供との接し方。人間関係など

TEL080-1588-2390
三重県伊勢市岩渕1丁目15−11
開室時間 9:00〜17:00(平 日)
9:00〜19:00(土日祝)

花と母の思い出

 私のもっとも好きな花のひとつに箱根卯木があります。幼い頃、家の前の道路を隔てた畑の脇にこの木が1本ありました。畑を囲う塀からほんのわずかに見えるくらいの大きさの木でした。不思議なことに毎年大きくなるでもなく、そして忘れられたような畑の片隅にあるこの小さな木のことが、よく気にかかったものでした。この木は、本当にひそかに、約束を守るかのように5月になると美しい花を咲かせてくれました。幼い私には、今年も約束を守って咲いてくれたのだ、と思えたものです。箱根卯木は、咲き始めは白い花が次第に赤くなっていくために、たっぷりとした美しい緑の葉の中で白、桃、赤の3色が本当に愛らしくいじらしく装っている風に見えます。私はこの花にいつも魅せられていました。今も、この花を見ると、遠い日の思い出がよみがえり、胸が熱くなるのです。

 家の裏にある庭にはタマスダレが並んで植えられていました。毎年夏になると涼しげな白い花を咲かせてくれました。母はこの花を、夏に咲き水仙に似ているためか、夏水仙と呼んでいました。私は大きくなるまで、ずっとこの花の名を夏水仙だと思っていました。今、本当の名前を知っても、やはりこの花は私の中では夏水仙のままです。花のたたずまいが夏水仙という名にとてもよく似合っていると思うからかもしれません。

庭には、いろいろな木が植えられていました。桜が2本、白梅が数本、はっさくが2本、みかんが1本、さつきやつつじが数本、蜜をたっぷり持った大きな白い花をつける椿、レンギョウ、ユキヤナギ、コデマリ、そして、母がぶどう柿と呼んでいたとても高い1本の木などです。母は、花や木の命名が上手だったのかも知れないと思っています。前述の夏水仙もそうですが、その他にも母が名付けたのだろうと思われるものがいくつかあります。庭にはユキヤナギの木が2本ありました。1本はよく他でも見られるもので、もう1本は、やや花が小さいものです。母は、大きな花の方はユキヤナギで、小さな花の方はこごめばなだと教えてくれました。花が小さなお米のようだからと母は言っていました。こごめばながユキヤナギの別名だと知ったのは後のことです。また、トリトマの花も2種類あり、大きな方はオニトリトマだと教えてくれました。もしかするとこれは私がオオトリトマのことを聞き間違えたのかも知れませんが、その姿からオニトリトマの方がぴったり合う感じがしています。ぶどう柿もそうです。私は今も庭にあった木がぶどう柿なのかどうか知りません。

 幼い頃の私の大切な居場所であった庭も畑も、もう何年も前に河川改修でなくなってしまいました。でも、花弁の1枚1枚の輝き、香り、やわらかな感触が母の思い出とともにいつも鮮明によみがえってくるのです。

 


スポンサーサイト

  • 2019.10.16 Wednesday
  • -
  • 14:29
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク

コメント
コメントする








   


↑ PAGE TOP

Copyright© こころの相談室 HALPRIMURA -春プリムラ- All Rights Reserved.