こころの相談室 HALPRIMURA -春プリムラ- | HALPRIMURA(春プリムラ)は女性の方を応援するこころの相談室です。悩み事などに関するカウンセリング。子供の学校相談。子供との接し方。人間関係など

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花子さんと太郎さんのものがたり

 花子さんは会社員です。今日は午前中、大切なお客様とお話をしなければならないので、お気に入りの淡いクリーム色のスーツを着て出勤しました。午後はその日は少し暑くなってきたので、上着を自分の椅子に掛けて、自分のデスクのある部屋とは別の場所で仕事をしていました。

 さて、仕事が終わり、自分のデスクに戻って帰る用意をしていたところ、椅子に掛けてあった上着に点々とたくさん黒いものが付着しているのに気づきました。まだ残って仕事をしている同僚の太郎さんに尋ねてみると、太郎さんは次のように話してくれました。「花子さんのデスクの左隣の由子さんが、黒色のインクの瓶を落として、周りに飛び散ったため必死に床を拭いていた。その時に付いたのではないか。由子さんはもう帰ったので、明日伝えた方がいいと思う。」

 床を見ると、なるほど少し黒い、取り切れていないシミが残っていました。

 花子さんはお気に入りのスーツだったのでとても悲しい気持ちになりました。もう午後7時を過ぎていましたが、自宅近くのクリーニング店に行ってみました。そこは、40歳くらいの優しい男の人が営んでいるクリーニング店でした。「捨て猫がいるとかわいそうで、ぼくは放っておけないのですよ。」と言ってたくさん猫を養っていました。猫たちはそのご主人にとてもなついているようでした。

 その日はもうお店は閉まっていましたが、そのご主人は優しく対応してくれました。「これはとてもショックですよね。わかりました。時間との勝負だと思いますから今からやってみましょう。」と黒いシミのついたスーツの上着を預かってくれました。ご主人は工場を開け、黒いシミをひとつひとつ丁寧に取ってくださったのだと思います。次の日の夜、受け取りに行くと、すっかり新品のようになったスーツがありました。本当に「プロの仕事」とは、こういうものをいうのだと感動しました。

 ところで花子さんは、由子さんになかなか言い出せずにいました。太郎さんが「どうして言わないのですか?」と言ってくれたのですが。

 そこでその翌日、太郎さんは、花子さんの椅子に掛けてあった上着に黒いしみが付いていたことを由子さんに伝えてくれたのですが、由子さんは「私には分からないです。」と答えたそうです。

 花子さんは、お金はかかったけれども、すっかり元通りになったし、感動することもできたので、まあ、よかったと思うことにしました。

 それから半年後、そのクリーニング店のご主人は体調を崩され、お店は休業となりました。そして、それから1年が経った頃に、ご主人は病気で亡くなられたのです。

 花子さんは今も、猫たちをやさしくなでて、エサをあげているご主人の姿が目に浮かぶのです。そして、夜遅くに、「このシミを絶対取ってやるぞ!」といっしょうけんめいに仕事をしてくれたご主人の姿を心に思い描き、涙が出そうになるのです。

 

 

 

 

 

 

 


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  • 2020.02.19 Wednesday
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  • 16:55
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